旨い菓子がたんとありやす。いや、旨い菓子しか置いてねぇんで──
兄・光太郎と弟・孝次郎が営む江戸深川の菓子屋「二幸堂」は間口を広げ、新しい縁に恵まれ、
王子の菓子屋「よいち」とともに、今日も人々の心に寄り添う菓子を供している。
待ち焦がれた命の誕生を祝う朝顔を象った練切「すくすく」、
肉桂の粉で花を描いた白餡の水羊羹「睡蓮」、値千金の祝言に華を添える祝い菓子「千両箱」と「黄金丸」、
栗餡が要の上菓子「十日夜」、選びかねる粒餡とこし餡の旨味を味わう「伯仲」……
心を込めて作られる極上の甘味が、縁ある人の幸せを願う想いを静かに照らす──。
大人気時代小説「深川二幸堂菓子こよみ」シリーズに続くもうひとつの物語!