大和書房版『吉田松陰全集』(昭和四十七年五月刊行)は、昭和初期全国に散逸していた松陰遺文を集大成した「岩波版吉田松陰全集全十巻」(「定本」)を原典とし、それをより平易な表現に改め、必要な註解を施した「岩波普及版全十二巻」を底本として、吉田松陰の遺著、遺文を主に、全十巻別巻一に収録し、各巻に月報を付記したものである。この電子書籍は平成二十四年に新装復刻した大和書房版『吉田松陰全集』を底本とし、月報も当時のものを付した。
松陰述作の原形を保ってその感触香気を失わないように、本文は「底本」に準拠し、漢字は正字に、仮名遣いは歴史的仮名遣いを用いている。
難解漢字の多数に、現代仮名遣いによる読み仮名をふり、註解は表記を改めるとともに、さらに大量に増補している。
「底本」にある人名・地名・書名および故事古典の引用に関する頭注は原則として採り、必要に応じて加筆し、難語句についてはできるだけ註解を加えた。これらの表記は、固有名詞、引用などを除き、原則として新漢字・現代仮名遣いを用いている。
「定本」および「底本」全集編纂行程の後、発見された書簡などの新資料は、「第十巻」に「補遺」として収録している。
各巻のはじめに、重要な松陰関係資料の写真一葉を口絵として収める。
【別巻 内容】
杉百合之助日記・小田村伊之助檜荘日記・宮部鼎蔵房相漫遊日記・宮部鼎蔵東北遊日記・山縣半蔵敬宇日録・国友半右衛門遊東日誌・北條源蔵浦賀日記・松浦竹四郎日記・吉田寅次郎 金子重之助護送日記・久保清太郎日記・玉木彦介日記・村塾油帳・佐世八十郎日記・入江杉蔵投獄日記・入江杉蔵揚屋詩稿・久坂玄端九仭日記・久坂玄端江月齋日乗・高杉晋作日記・一燈銭申合帳・久坂玄端廻瀾條議・攘夷血盟書 奇兵隊血盟書・吉田小太郎日記・野村靖追懐録・関係雑纂・関係文献一覧表・吉田寅次郎(スティヴンソン著)・ペリー日本遠征記(ホークス著)・日本遠征記(スパルディング著)