「華はねえが、味がある……なんともおめえらしいぜ、こうの字よ」
光太郎と孝次郎の兄弟が営む菓子屋「二幸堂」。
如才なく得意先を開拓する美男の兄と、不器用だが才ある弟の作る菓子は、江戸深川にしっかりと根を下ろしはじめた――。
王子のせせらぎのような水羊羹「壬」、生姜の風味爽やかな「夕凪」、香ばしさと舌触りが絶妙な栗饅頭「日向」、瑞兆を映す祝い菓子「冬虹」……。
――孝次郎の作るとびきりの菓子が、縁を言祝ぎ、幸いを呼ぶ――。
江戸の菓子屋を舞台に描かれる、極上の甘味と人情と、ままならぬ恋。
兄弟の絆と人々の温かさに涙零れる珠玉の時代小説、待望の第二弾!