大正5(1916)年に養老牛温泉(北海道中標津町)を踏破し、旅館養老園を開いたことでも知られる開拓者・西村武重。彼は道東の山野を跋渉して狩猟、渓流釣り、登山、植物採集、鉱石発掘などに明け暮れた。本書は、飼牛を襲って牧場を荒らす羆狩りや痕跡を追って何日も山野を彷徨する単独羆猟の話、山女魚釣りの極意、アイヌ民族との交流、人跡疎らだった時代の知床半島探検など、壮年期の西村が体験した貴重な記録。■内容羆との闘い ・原始林の王者 ・牧場荒らしの大羆を倒す ・標津岳の羆狩り ・親子羆を追う ・羆狩りと猟犬 ・恐怖の大羆◆北海の狩猟者 ・根室原野の昔ばなし ・山小屋の一夜 ・密林の住人たち ・北辺を釣る◆知床半島の大自然 ・未開の別天地◆解説 久保俊治(猟人)■著者について西村 武重(にしむら・たけしげ)1892(明治25)年2月、香川県綾歌郡造田村(現まんのう町)生まれ。1896(明治29)年、4歳で北海道札幌市篠路に父と移住。1916(大正5)年、養老牛温泉踏破。永年ヒグマ撃ちを経験してきた。1972(昭和47)年、勲六等単光旭日章授与。1983(昭和58)年、死去。著書に『ヒグマとの戦い』『北海の狩猟者』(いずれも山と溪谷社)、『原野とヤマベ――秘境知床』(釣の友社/1969年)、『養老牛の今昔』などがある。