チューリップ、クロッカス、バラ、マーガレット、カンパニュラ、パンジー、マリーゴールド――花は、それぞれ輝ける場所で咲いている。身近な47の花のドラマチックな生きざまを、美しいイラストとともに紹介する一冊。ベストセラー『生き物の死にざま』著者、文庫最新刊。『身近な花の知られざる生態』(2015年、PHPエディターズ・グループ)を改題、加筆のうえ文庫化。(「はじめに」より)花にさまざまな種類があるように、私たち人間にもさまざまな顔があり、個性がある。私たち人間は、花の美しさを知っている。花の色や形は、いろいろあることが美しいと知っている。それなのに私たちは、ときどき「たくさんあること」の素晴らしさを忘れてしまうのは、どうしてだろう。「違うこと」の素晴らしさを見失ってしまうのは、どうしてだろう。くらべたり、優劣をつけたくなってしまうのはどうしてだろう。花は自分を誰ともくらべない。そして、自分だけの花を咲かせる。世の中には、さまざまな花がある。花の数だけ咲き方がある。そして、花の数だけ、物語があるのだ。本書では、そんな物言わぬ花の物語を紡いでみたいと思う。〔内容〕人々を魅了してやまない一瞬の美しさ サクラ本当ははかなくない春の妖精 カタクリ人だけでなくハチも惑わすラブグラス パンジーバブル景気の元祖となった魅惑の花 チューリップ今も多くの人に愛され続けるひかえめな花 スイセン春は花、秋は香辛料として愛される クロッカス綺麗な花にするどいトゲがある意外な理由 バラ乙女の期待を裏切らない科学的な花占い マーガレット虫が拒むように進化を遂げた花 スィートピーカタツムリとは実は相性がよくない花 アジサイ夜の交友関係の意外なパートナー テッポウユリ香りで虫を寄せつけない花 ゼラニウム世界初の麻酔手術に使われた花 チョウセンアサガオたった一年で三メートルの高さになる不思議 ヒマワリアフリカ原産の太陽に恋した少女の花 マリーゴールド宮沢賢治が愛した「小さな鐘」 カンパニュラピンクの語源になった花 ダイアンサス人類が初めて出会った雑草 アザミ可憐なように見えてたくましい コスモス歴史上、暗躍した毒草の中の毒草 トリカブト本当はクリスマスが似合わない植物 ポインセチア鳥を惹きつけるために先駆けて春に咲く ツバキなど