生態学者・文化人類学者であり、探検家である梅棹忠夫氏の登山と探検を振り返った著作。晩年になって想いを新たにした随想、対談などをまとめたもので、氏の最後の著作になった。また著作集をはじめ多数の著作のなかで、唯一の山と探検をテーマにした単行本である。利便性のみを追求しがちな現代にあって、山とは、探検とはなにかを問いかけた、貴重な一書である。内容は、京都の青春時代の回想、学問とフィールドワークについて、今西錦司、中尾佐助、安江安宣、平井一正などとの山をめぐる交友録、探検をめぐる発言集など。かつて登山、探検を志向したことのある人には待望の内容になっている。なお、山と溪谷社も共催している「梅棹忠夫・山と探検文学賞」も今年4回目を迎え、異色の文学賞として定着しつつある。