1980年代から90年代の半ばにかけて、極地の冒険やヒマラヤ登山が隆盛を極めたころ、何人もの登山家や冒険家たちが突然の事故で命を失ってしまった。そうしたなかで直接会って話を聞くことができた、忘れがたい冒険者たちがいる。植村直己、長谷川恒男、星野道夫、山田昇、河野兵市、小西政継の6人の人たちだ。生前の交流や山と溪谷社との関わりなどを中心に、6人の事績を顕彰して綴られた邂逅の記録である。時代が経過するなかで、現地を訪ねてその足跡を辿ってみる――。世界的な極地冒険家・植村直己は、グリーンランド、シオラパルクへの旅を、アルプスやヒマラヤで記録を残した、登山家・長谷川恒男は、カラコルム、フンザへの旅を、動物写真家・星野道夫は、アラスカ、シシュマレフへの旅を、世界最強と言われた登山家・山田昇は、アラスカ、マッキンリーへの旅を、北極点に単独徒歩到達した冒険家・河野兵市は、故郷である愛媛県・瀬戸町への旅を、そして登山を世界レベルに主動した登山家・小西政継は、ネパール、マナスルBCへの旅をトレースする。それは、「巡礼」にも似た旅だった。偶然ではあろうが、6人のうち4人までが43歳で亡くなっている。彼らが活躍できた時代とはどういう時代だったのか、志半ばでヒマラヤや極地に逝った、6人の事績を現地に訪ねて綴られた彼らとの交流の記録である。