夏樹たちの父親は仕事もしないで家にはほとんどいない。たまに帰ってきても母に金をせびってまた出ていく。そして母に手を上げたりもした。その日もパートに出かける母の頬にはアザがあった。そんな母を見て夏樹は思うのだった。「だから私は絶対選ぶ男を間違えない」と。そこに弟の博巳がドロベタになって泣いて帰ってきた。同級生にイジメられたらしい。「男のくせによく泣くね」夏樹は博巳をお風呂に入れながら語りかける。「大人って泣かないじゃない?」「あれって多分隙を他人に見せたくないんだよ」すると博巳は「どうやったら早く大人になれるの?」と姉に訊く。博巳を大人にする…、この子を誠実で賢い男に育てる…。夏樹はある決心をする。そして博巳に約束させる。「将来私を絶対幸せにしなさい!」姉と弟、寄る辺ないふたりが今、一線を越える。