あらすじ里村五郎兵衛は、神宮寺藩江戸藩邸差配役を務めている。陰で〈なんでも屋〉と揶揄される差配役には、藩邸内の揉め事が大小問わず持ち込まれ、里村は対応に追われる毎日。そんななか、桜見物に行った若君が行方知れずになった、という報せが。すぐさま探索に向かおうとする里村だったが、江戸家老に「むりに見つけずともよい」と謎めいた言葉を投げかけられ……。最注目の時代小説家が描く、静謐にして痛快な物語。