アメリカ人の著者が全編日本語で書き上げた小説第二作。少女時代から陶芸家を目指してきたカティアは、ある出来事をきっかけに、師匠であり恋人でもあったライダーと決裂、偶然舞い込んだ大阪の女子校の英語講師の椅子にとびつき、逃げるようにアメリカを離れた。カティアの新地は、大阪の北摂。そこには、師ライダーとそっくりの顔をした「太陽の塔」がそびえたち、あたりを睥睨している。カティアにはひとに言えない悩みがあった。少女時代のある日、ライダーに「伝承」されて以来、自分の手が師匠のものになってししまった。ありえないことだが、腕先に、骨ばった長い指の「ライダーの手」がくっついているのだ……。胸に傷を抱えながら、異国の地で未来を探して奮闘する、若きカティアの青春物語。