傾いて“勾配”があることからその名が付いた浅草阿部川町の「紅梅長屋」。
南町奉行所与力の紅三十郎が、遠山左衛門尉の命によりこの裏店に入居して一年余。すっかり住人の信頼を得、庶民の人情を知った三十郎の元に、評判の芸者・〆香(しめか)が訪れてきた。連れになった娘御・お蝶を預かって欲しいという。
わけありのようだったが、美人芸者の願いは断れるはずもなく、しばらくの間、“父子”ふたりで暮らすこととなった。
そんな折、品川沖に黒船がやってくるという噂が。長屋住人はお祭り騒ぎとなり、みんなで船見に出かけるという。仕方なく同行する三十郎だったが、この遠出がお蝶とその父、そして〆香の運命を左右することに!
国難に立ち向かう左遷与力、その活躍を描く人気シリーズ、第三弾!!