近代の大衆が生み出したイデオロギーが、「全体主義」である。
困難と義務を放棄した“できそこないの個人”が全体主義社会を望むのだ。
20世紀のナチスやソ連、現代では中国などが全体主義国家として挙げられるが、
むしろ日本の症状のほうが深刻だと著者は警鐘を鳴らす。
そもそも「自己欺瞞」によって近代を受け入れた日本は、
全体主義に対峙すべき「保守」が根付かなかった。
そこへ、合理性と効率性を追求するグローバリズムと社会の分断を煽る
新しいテクノロジーが浸透し、人間性の抹殺が日々進んでいる、と。
我々に残された対抗手段はあるのか? ニッポンを蝕む全体主義の正体を暴く。