「20代の名人はあり得ない」
レジェンド・坂田栄男二十三世本因坊の有名な言葉です。
時は経ち、令和元年11月。囲碁界に10代の名人が誕生しました。
歴史が動いたそのニュースは囲碁界の外でも大きく報道されました。
本書は、その主人公・芝野虎丸名人の軌跡が語られます。
著者は実兄であり、ライバルであり、研究仲間である芝野龍之介二段。
その目線から、虎丸名人の人柄や囲碁の特長を、棋譜を交えて余すことなく語っていきます。
棋譜は全10局。
院生やプロ試験、タイトルを獲得した竜星戦や新人王戦、そして名人戦など充実した内容になっています。
棋譜とエピソードは分かれているので、棋譜をじっくりと並べて研究したい、という方にもおすすめです。
また、現役棋士が語る囲碁界の現在も知ることができます。
「手合い日当日の様子」「タイトル戦の裏側」「年下に追い抜かされる葛藤」など、
裏側や事情を知れば囲碁がもっと楽しくなることは間違いありません。
囲碁に興味を持たれている全ての方に、手に取っていただきたい一冊です。