これが矢倉の未来だ!
「将棋の純文学」と言われ、基本戦法として古今にわたって親しまれてきた矢倉。
プロ間でもタイトル戦の重要局で数多くの名勝負を生み出してきたこの戦法が絶滅の危機に瀕しています。
まず、王道中の王道といわれた▲4六銀・3七桂型が△4五歩の復活によって消滅。追い打ちをかけるように左美濃急戦が登場して▲6六歩型の矢倉は減少の一途をたどりました。
先手の妥協案としての5手目▲7七銀には矢倉中飛車をはじめとする従来の急戦策が有効で、▲2六歩と先手が飛先不突き矢倉を放棄する形に対しても後手は十分戦えます。
先手は脇システムや矢倉藤井システムを持って対抗しますが、なんと▲7七銀型に対しても速攻で潰そうという新手法が登場しました。早めの△7四歩から△7三銀や△7三桂で、序盤早々先手陣に襲い掛かる戦法です。
かつては先手の利を最も発揮しやすい戦法と言われた矢倉ですが、これだけ後手に有力な作戦が生み出されては、もはや先手で矢倉を指す意味はなくなってしまったのでしょうか?
否。矢倉は終わっていません。
これまで定跡中の定跡とされてきた▲5六歩に代えて▲2六歩と先攻する形が出てきたのです。矢倉超急戦、新時代の幕開けです。
本書はこれらの歴史的な流れを概観しつつ、最新の矢倉の攻防にギリギリまで迫った真田圭一八段渾身の一冊。いま、先手の矢倉は何を目指して指せばいいのか?何が最も有力な構えなのか、本書を読めばわかります。
矢倉を諦めない。
本書が発するメーッセージをぜひ受け取ってください。
◆目次
序 章 矢倉超急戦、新時代の幕開け
第1章 後手早繰り銀
第2章 ▲2六歩早突き型対早繰り銀
第3章 ▲2六歩早突き型対米長流急戦矢倉
第4章 △8五歩早突き型
第5章 先手の急戦矢倉
◆著者
真田圭一(さなだ・けいいち)
1972年10月6日生まれ、千葉県八千代市出身。
1985年6級で(故)松田茂役九段門。1992年4月四段。
2005年3月七段。2016年10月八段。
1997年第10期竜王戦でタイトル初挑戦。1996年将棋大賞新人賞受賞。1999年から2003年まで将棋連盟理事を務めた。著書に「初級者将棋上達の方程式 寄せの公式」(日本将棋連盟)、「わかる!勝てる!! 急戦矢倉」「激変する現代矢倉 ~▲3七銀戦法から藤井流早囲いまで~」「一問一答で身につく現代将棋の基本手筋432」(マイナビ出版)がある