山岳界で“ヒマラヤに残る最後の課題”と言われる一つ、ローツェ南壁の冬季ソロ単独登攀を達成し、トップクライマー入りした奈良原和志はアマ・ダブラム西壁に挑んでいた。次の挑戦の武器になる新製品のテストも兼ねているためソロを封印、登山経験もあるスポンサー企業・ノースリッジの若手技術者・柏田を伴ってのものだった。難しい登山ではなかった。だが落石で柏田が死亡、和志も大怪我を負う。そこへ追い打ちをかけるネット上の誹謗中傷と柏田の両親からの訴訟。気力を失った和志に、登山の師であり、がん癌で余命宣告を受けたにも拘らず献身的なサポートを続ける磯村賢一は、リハビリに付き合う中、あえて“課題”のもう一つ、「冬のK2」をぶつける……。