あらすじ十年後、一緒にギリシャに行こう。もし別れてても、そのとき一人身だったら、里奈の三十歳の誕生日にフィロパポスの丘で会おう――二十歳の私に、和真は言った。ギリシャ神話が好きだったことがきっかけで付き合うようになった私たちは、そんな夢を語り合った。そして今日がその日。私は今、アテネにいる。大学卒業を待たず別れてしまった彼と再会したのは二年前。以来、メールを交わすようになり、いつしか私の胸には淡い期待が育ち始めていた。果たして彼は来るだろうか…。恋愛アンソロジー『運命の人はどこですか?』収録の傑作短編。