本書は1989年に発売され、現在は絶版となっている「谷川浩司全局集I 名人就位まで」を電子書籍で復刊するものです。480ページというボリューム満点の大著で、14歳でプロ棋士になり、21歳で名人獲得という前人未到の記録を打ち立てるまでの軌跡が全局収録されています。また、ポイントなった対局については自ら解説しています。
加藤一二三九段とのデビュー戦
米長邦雄九段、中原誠名人、大山康晴十五世名人との対戦
そして前人未到、21歳での名人獲得
「実は二分くらいで即詰みがあることが分かった。分かったが、すぐには指せなかった。私はお茶をすすり、おしぼりで手の汗をぬぐった。メガネを外してハンカチでレンズを拭き、それからおしぼりを両目に押し付けた。
次の一手を指すとき、私の指は震えていた。何度も落ち着かせようとしたが、どうしても震えを止めることができなかった」
「名人位を一年間預からせていただきます」と答えた谷川九段、この名人獲得により人生が大きく変わったと書かれています。
将棋史においてひときわ輝く伝説を作った谷川浩司。その光の跡がここにあります。