面識のない男たちが、サイトを介して初めて会ったその日に犯罪を計画し、見知らぬ31歳の女性を殺した「闇サイト殺人事件」。犯罪小説を地でゆくこの事件を生んだ「闇サイト」とは、そもそも何のために開設され、どんな人物がアクセスしているのか。さらに報酬20万円で殺人を請け負う「何でも屋」、恨みを晴らす「復讐代行」など、2005年頃から危険なサイトが増殖している。閉塞した現代社会の合わせ鏡、インターネットの「裏」に深く切り込む、戦慄の実録ルポ。
第一章 闇サイトと依頼殺人
第二章 自殺系サイトとネット心中
第三章 出会い系・家出サイトに潜む罠
第四章 ネットで流通する合法ドラッグと大麻
終章 ネットを利用した犯罪は防げるのか
●渋井哲也(しぶい・てつや)
フリーライター。ノンフィクション作家。中央大学非常勤講師。 栃木県生まれ。東洋大学法学部卒。東洋大学大学院文学研究科教育学専攻博士前期課程修了。教育学修士。家出、援助交際、摂食障害の取材の過程で「生きづらさ」という言葉を聞いて以来、子ども・若者の生きづらさ、自殺、自傷行為、依存症などに関心を持つ。そのほか、いじめや不適切指導による自殺(指導死)などの教育問題、ネット・コミュニケーション、ネット犯罪、ネット自殺、東日本震災やそれに伴う原発事故・避難生活の取材を重ねる。週刊女性の取材班として「グッドプレス賞」(依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク主催、雑誌部門、2020年度)受賞、『ルポ自殺 生きづらさの先にあるのか』(河出新書)で「貧困ジャーナリズム賞」(反貧困ネットワーク主催、2022)を受賞。