なぜネットで仲間を求め、見知らぬ他人と死を選ぶのか。中高年の自殺とは様相を異にした、若者たちに連鎖する「ネット心中」。自殺を遂げた人、途中で翻意した人、遺族、ホームページの管理人等への取材を通して、若者が死を志向するにいたった背景、その心理を探る。若者の心の叫びを受け止め、「ネット心中」を未然に防ぐための緊急提言。
第1章 ネット心中の志願者たち
第2章 ネット心中の連鎖
第3章 インターネットと自殺
第4章 自殺系サイトのコミュニケーション
第5章 ネット心中を止めるには
●渋井哲也(しぶい・てつや)
フリーライター。ノンフィクション作家。中央大学非常勤講師。 栃木県生まれ。東洋大学法学部卒。東洋大学大学院文学研究科教育学専攻博士前期課程修了。教育学修士。家出、援助交際、摂食障害の取材の過程で「生きづらさ」という言葉を聞いて以来、子ども・若者の生きづらさ、自殺、自傷行為、依存症などに関心を持つ。そのほか、いじめや不適切指導による自殺(指導死)などの教育問題、ネット・コミュニケーション、ネット犯罪、ネット自殺、東日本震災やそれに伴う原発事故・避難生活の取材を重ねる。週刊女性の取材班として「グッドプレス賞」(依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク主催、雑誌部門、2020年度)受賞、『ルポ自殺 生きづらさの先にあるのか』(河出新書)で「貧困ジャーナリズム賞」(反貧困ネットワーク主催、2022)を受賞。