「未曾有の大凶事が迫っている」宮内庁に極秘に属し、日本の霊的国防を司る陰陽師・中橋空斎の掛(け)に、戦慄の事態が! 凶事とは何か、いつどこで起こるのか? 奈良時代の陰陽道天貴流の秘録が解読できれば、防衛策が取れるのだが……。
一方、空斎の親友である作家の神山は、丹後で出土した亀の甲羅の謎を追っていた。瑞祥亀(ずいしょうき)、改元、浦島伝説……神聖視されてきた亀に隠された古代のメッセージ。それこそ国家の危機を示すものだった。果たして空斎は凶事を防ぐことができるのか!? 現代の陰陽師が活躍する伝奇小説。
●倉阪鬼一郎(くらさか・きいちろう)
1960年、三重県伊賀市生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒。同大学院文学研究科日本文学専攻博士課程前期中退。在学中に幻想文学会に参加、1987年に短篇集『地底の鰐、天上の蛇』でデビュー。印刷会社、校閲プロダクション勤務を経て、1998年より専業作家。第3回世界バカミス☆アワード(2010年)、第4回攝津幸彦記念賞優秀賞(2018年)。ホラー、ミステリー、幻想小説、近年は時代小説を多数発表、オリジナル著書数は170冊を超える。