老舗和菓子屋のひとり娘・東野まりえは、筋金入りの競馬マニアで、人間の男には全く興味がない。そのまりえにお見合い回避のため“偽装恋人”を頼んだ鷹塔譲二は、全く競馬を知らない。その譲二の伯父である鷹塔忠勝は、政商『鷹塔』一族のドンであり、サラブレッドの牧場を経営している。その忠勝の牧場で働く調教師・牧原歩と厩務員・加賀彬は、二歳牝馬・アクアサンタマリアに期待をかけている。そのアクアサンタマリアに騎乗する陣内朋彦騎手は、地方競馬から上がってきた苦労人。
一頭のサラブレッドを中心につながる人間関係。レースにかける期待、情熱、そして感動……。競馬を愛するすべての人に贈る、爽やかな長編青春小説。電子オリジナル作品。
●日向真幸来(ひるが・まさき)
作家。3月10日生まれ、うお座のO型。名古屋市在住。『夢売り童子陰陽譚』にて朝日ソノラマ新人賞佳作受賞。著書に『神殺しの丘』『春に来る鬼』など。歴史、民俗学系を好む。競馬はオグリキャップ時代からのファン。