警視庁捜査一課の村岡刑事は、久々の休暇で神戸の旧友を訪ねた。初恋の人・野本由加との再会に甘い期待を抱く村岡だが、北野異人館近くで起きた殺人事件の容疑者を目撃、さらに翌日、旧友の妹の恋人だった男の殺害現場の第一発見者となり、警察の厳しい追及を受ける破目に陥った。偶然か、罠か。村岡の容疑を晴らすべく、異人館、三宮、ポートアイランドとその足跡を辿る八木沢警部補の胸には、由加への疑惑が深まってゆく…。長編旅情ミステリ。
●大谷羊太郎(おおたに・ようたろう)
1931年、東大阪市に生まれる。慶応大学文学部国文学科中退。大学在学中にプロミュージシャンとしてデビュー。芸能界で過ごした後、1970年に『殺意の演奏』で第16回江戸川乱歩賞を受賞。翌年より推理作家専業。トリック中心の推理小説を120冊以上発表。近年は時代小説でも多くの著書を発表している。