あらすじ『万葉集』を代表する歌人であり編者でもある大伴家持。歌人というイメージが強い彼だが、『万葉集』巻末の歌を最後に、歌は残ってはいない。なぜ68歳まで生きた彼が42歳で歌わなくなったのか──。古より続く武門の名家の嫡流としてのプライドをもちながらも、政治的には不遇を託つ家持。そんななかでも、歌を愛し歌をよりどころとして生きた彼が、その歌に込めたものはなんだったのか。日本という国の形成期に、自らの内面を深く見つめた家持の歌と人生を描く。