冒険小説の世界に新たな境地を拓いた傑作短編集
ロシア革命勃発の五年後、一九二二年の新生ソ連に密航した革命の闘士・高田平作は、モスクワで美しい人妻ニーナと出会い、激しい恋におちた。折りしも、たずね求めた友人がチタにいることを知った平作は、ニーナと再会を約してシベリアへ。だが、彼を執拗に追う特務機関員米村憲兵大尉もその情報を得てチタへ向かっていた…。
表題作の他、全5作品の短篇小説を収録した傑作短編集。
・恋と男と革命と
・野菊の島
・蛮地の神
・イルゼの旅
・東から来た男
●胡桃沢耕史(くるみざわ・こうし)
1925年東京生まれ。府立六中(現新宿高校)、拓殖大学卒。『近代説話』同人。昭和30年、『壮士再び帰らず』(筆名・清水正二郎)で第7回オール讀物新人賞、58年、『天山を越えて』で第36回推理作家協会賞、同年『黒パン俘虜記』で第89回直木賞を受賞。『翔んでる警視正』シリーズ、『旅人よ』、『ぼくの小さな祖国』、『女探偵アガサ奔る』、『ぶりっこ探偵』、『夕闇のパレスチナ』、『闘神』など著書多数。