政権党の実力者を父に持つ大友次郎と、製薬会社社長令嬢、楡ひとみの盛大な結婚披露宴のさなか、突然、新婦がナイフで新郎に襲いかかった。場内は騒然、混乱を極める中、「道祖神の怨霊が」との謎の言葉を残して、新婦は姿をくらました。
失踪したひとみを追うかつての恋人・加尾参三は、やがて信州安曇野に到り、記紀の時代につながる“古代の民”の争乱に巻きこまれていった……。
●志茂田景樹(しもだ・かげき)
静岡県生まれ。おひつじ座のA型。中央大学法学部卒。塾講師、新聞記者などを経て、1976年秋に『やっとこ探偵』で第二七回小説現代新人賞を、1980年には『黄色い牙』で第八三回直木賞を受賞。