荒涼とした満州とモンゴルの国境地帯を密命を帯びた一団が行く。そこは、ソ連・モンゴルが主張する国境と、日本・満州が主張する国境が非常に曖昧な、遊牧民が行き交う荒野であった。帝国陸軍測地本部から派遣された男は、鉄道建設計画の調査のため、一歩間違えれば紛争の火種となりかねないその地に足を踏み入れていた……。古巣の関東軍司令部に、副参謀の肩書で栄転した石原莞爾を、難敵の東条英樹が参謀長として待っていた。結局、東条は目障りな石原を内地に追い返すのに成功し、その後、陸軍次官へと栄転する。その満州に三度、石原が赴任する。満州国政府の首席軍事顧問として、“ある計画”を胸に……。「満州大動乱」シリーズ、第3弾。完結編。
●高貫布士(たかぬき・のぶひと)
1956年生まれ。神奈川県出身。和光大学人文学部芸術学科卒業。学生時代より軍事評論家・小山内宏氏、航空評論家・青木日出雄氏らが創設した「軍事学セミナー」で軍事学を修得。出版社勤務を経て、軍事アナリスト兼作家として活躍。『図解・ドイツ装甲師団』『大日本帝国海兵隊戦記』シリーズなど、ノンフィクション、小説の著書多数。