遙か太古の地球に君臨していた知的生命体=「古のもの(Old Ones)」が残した五機の最終兵器ネクロノーム。その巨大兵器の五機目が深海で長い眠りから目覚め、高校生の脇屋光頼を新たな主として迎えるために活動を開始した。一方、すでに覚醒した三機のネクロノームを巡り、軍事力により世界の覇権を目指すコスモ・マトリックスと、その野望を阻止しようとするファウルスの争奪戦は、ますます激しさを増していく。だが、そんな人類の愚かな戦いを嘲笑うかのように、五機のネクロノームを束ねる母機〈N〉が、静かに目を覚ましつつあった……。
クトゥルー神話と巨大ロボット・アクションを融合させた「新クトゥルー神話」、第2弾。
●朝松健(あさまつ・けん)
1956年札幌生まれ。東洋大学卒。出版社勤務を経て、1986年『魔教の幻影』でデビュー。ホラー、伝奇など、幅広い執筆活動を続けている。2006年『東山殿御庭』が第58回推理作家協会賞短編部門の候補となる。近年は室町時代に材をとった幻想怪奇小説〈室町ゴシック〉、一休宗純を主人公とした〈一休シリーズ〉、かつて誰も書かなかった〈異形の戦場〉と化した京都を描いた『血と炎の京』で高い評価を得ている。