慶長18年5月。伊達政宗の軍事力をバックに、豊臣方に反旗を翻した下総佐倉城主・松平忠輝(家康六男)は、猪鼻城後詰めに一万二千の軍を送った。手薄になった佐倉城は、宮本軍に属する猿飛佐助、霧隠才蔵の働きで落城。武蔵は西上をはじめた政宗を討ちとるが、それは影武者だった。泰然自若と猪鼻城に拠る忠輝。後手に回った宮本武蔵・真田幸村連合軍は、猪鼻城の強固な出城、堅牢な砦を攻めきれず苦戦を強いられる。さらに江戸湾には伊達水軍が……。
孤高の剣豪ではなく、軍団を率いて大名まで成り上がる宮本武蔵の活躍を描く。歴史スペクタクル第3弾、完結篇。
●志茂田景樹(しもだ・かげき)
静岡県生まれ。おひつじ座のA型。中央大学法学部卒。塾講師、新聞記者などを経て、1976年秋に『やっとこ探偵』で第27回小説現代新人賞を、1980年には『黄色い牙』で第83回直木賞を受賞。