「仮にこの決戦で太平洋艦隊の戦艦群が大損害を受けても、連合艦隊の主力を相打ちで倒せば、国力に勝る米国側に勝算がある」キンメル司令長官の自信は、依然揺らぐことはなかった。一方、連合艦隊を率いる古賀峯一。小笠原沖で一大決戦に臨む彼の決意は、キンメルと同様だった。ただし、古賀はキンメルが予想もしない奇策を多数用意し、艦隊決戦前に仕掛ける腹づもりだった。その第一弾、水上機母艦が米太平洋艦隊の針路上に遊弋する……。その頃、小沢治三郎率いる第一航空艦隊は、遠く離れたハワイ沖にあった。黎明時、艦戦・艦爆・艦攻からなる淵田美津雄が指揮する第一次攻撃隊が、オアフ島パールハーバー軍港へ向け飛び立つ……。
シミュレーション戦記に新たなる地平を拓く「ザ・パシフィック・ウォー」シリーズ、第5弾にして完結篇。
●高貫布士(たかぬき・のぶひと)
1956年生まれ。神奈川県出身。和光大学人文学部芸術学科卒業。学生時代より軍事評論家・小山内宏氏、航空評論家・青木日出雄氏らが創設した「軍事学セミナー」で軍事学を修得。出版社勤務を経て、軍事アナリスト兼作家として活躍。『図解・ドイツ装甲師団』『大日本帝国海兵隊戦記』シリーズなど、ノンフィクション、小説の著書多数。