ケルヴィーノ……彼もまたアンジェロと同じく、地上に生まれ出でた天使だった。しかし五百年前に生を受け、神に救いを求め、裏切られ続けた彼は、いまや悪魔のごとき所業を重ねていた。愛する娘エウジェニアの命を握られていると知り、彼女を救うために自らケルヴィーノに捕らわれたアンジェロの運命は……。海の都ヴェネツィアの命運をも左右する、天使たちの壮絶な戦いの行末は……。ゴシック・ファンタジーの旗手・篠田真由美の世界を、高屋未央の描き下ろす秀麗なイラスト満載で魅せる物語。
大幅に加筆修正された文庫を底本に、ノベルスの表紙・挿絵を収録した豪華版。
●篠田真由美(しのだ・まゆみ)
1953年、東京生まれ。1977年、早稲田大学第二文学部卒業。1992年、第2回鮎川哲也賞の最終候補に残った『琥珀の城の殺人』(東京創元社)でデビュー。1994年に『ドラキュラ公 ヴラド・ツェペシュの肖像』『未明の家 建築探偵桜井京介の事件簿』(講談社)を発表。以後、ミステリ、幻想、伝奇ジャンルで執筆。