フィオレンツァの存亡に関わる秘儀も、《扉》を守る巫子の衰弱とともに無効化しようとしていた。崩壊の危機をはらんだメディチ家。魔女たちの集団「ディアーヌの姉妹」の血を継ぐアンジェロは、次代の巫子となるよう乞い願われていたのだった。迷い揺れるアンジェロ、彼のもとに母コンスタンスの失踪が知らされる。母の行動はなにを示しているのか、《扉》の真実とは? いつしか少年は自らの真の姿に向かいあうことになる……。美と醜が共存するロマネスク伝奇ファンタジー。
大幅に加筆修正された文庫を底本に、ノベルスの表紙・挿絵を収録した豪華版。
●篠田真由美(しのだ・まゆみ)
1953年、東京生まれ。1977年、早稲田大学第二文学部卒業。1992年、第2回鮎川哲也賞の最終候補に残った『琥珀の城の殺人』(東京創元社)でデビュー。1994年に『ドラキュラ公 ヴラド・ツェペシュの肖像』『未明の家 建築探偵桜井京介の事件簿』(講談社)を発表。以後、ミステリ、幻想、伝奇ジャンルで執筆。