かつては千葉県警の腕利き刑事だったが、ヤクザの情婦に手を出してクビになった湯佐内甚九郎。妻子に去られた独身男で、しがない探偵だ。ある時、友人が連れて来た少女の母親、津川雅子捜しを引き受けた。保険の外交にしては多過ぎる女の預金額に疑いを抱いていたところに、暴力団幹部と車に乗っていたという情報が入る。調査を続けていくうち、やがて雅子のひどい情痴姿を目撃したが、連れ戻すどころか、逆に湯佐内は組織に拉致されてしまう……。
泥臭い男の生き様を描いた長篇ハードボイルド小説、第2弾。
●広山義慶(ひろやま・よしのり)
1935年大阪生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。児童文学、翻訳、TVドラマの脚本家を経て、1983年『夏回帰線』でデビュー。『女喰い』シリーズ(祥伝社)、『無法戦士・雷神』シリーズ(光文社)などハード・バイオレンスを中心に著書多数。