一九四二年四月十八日。開戦以来、インド洋、地中海、北海と英国艦隊を相手に獅子奮迅の活躍をしてきた角田覚治少将率いる第五航空戦隊は、ジブラルタル港にその雄姿を休めていた。独海軍方面司令部を訪れた角田は、そこで最高司令官レーダー元帥より五航戦の分割を提案され愕然とする。米国参戦による船団輸送の増強に対処するため、通商破壊戦の強化を主張するレーダー元帥と、米戦艦・空母との決戦に闘志を燃やす角田。対米戦術をめぐり激しく対立する二人。しかしその間も、反攻の機会を虎視耽々と狙う米大西洋艦隊の去就は、未だ不明だった……。
●青山智樹(あおやま・ともき)
1960年、東京都武蔵野市生まれ。学生の頃より同人誌『宇宙塵』に参加。東海大学理学部物理学科卒業後、高等学校に理科教師として勤務。1992年、長編SF『赤き戦火の惑星』(勁文社)で商業デビュー。『合体戦艦「富士山」出撃!』(有楽出版社)、『蒼穹の海鷲』(アスキー)等、シミュレーション戦記を中心に執筆する。その他にも『零戦の操縦』(アスペクト)、『自分でつくるうまい!海軍めし』(経済界)、『世界一わかりやすい放射能の本当の話』(宝島社)等、ミリタリー関連書籍など著書・共著多数。