コンビニからの帰り道。死体を発見した。同じクラスの女の子。それを見たコスモが思わず改変した現実世界。しかし、その改変後の世界で殺されたのは、ぼくだった。背中を刺され、窓から突き落とされる記憶……。再度改変すると彼女。次はぼく。しまった、無限ループに閉じ込められた。この輪を断ち切るために必要なものは? 犯人は一体誰なんだ? 何かが違う。何を忘れている。思い出したくもない、ある事件のことを。ぐるぐると過去と現在を行き来しながら、ぼくは必死に考えを巡らせるが……。
量子に働きかけ、現実を作り替えてしまう量子少女・藤川コスモ。時空の歪みを修復できる斉藤真綾。そして、量子の波の影響を受けない“ぼく”こと犬飼研。歴史を改変し、歴史を修復する『歴史部』の3人が主人公の長篇SF小説、第3弾。電子オリジナル作品。
●町井登志夫(まちい・としお)
作家。1964年生。日本SF作家クラブ会員。1997年、『電脳のイヴ』で第3回ホワイトハート大賞優秀賞を、2001年に『今池電波聖ゴミマリア』で第2回小松左京賞を受賞。他の作品に『爆撃聖徳太子』『諸葛孔明対卑弥呼』『倭国本土決戦』『改革者蘇我入鹿』『細菌汚染』などの他、『夢幻∞』『九十九神曼荼羅』シリーズがある。