父親である幸隆の愛情と“道みちの者”たちの協力で、武将として卓抜した能力を身につけ始めた真田源五郎(後の昌幸)。だが、まだ幼さが残る源五郎に待ち受けていたのは、過酷な人質の運命であった。一方、戸石城陥落の際に辛うじて生き残った醜鳥は、この世の全てを呪いながら命尽き果てようとしていた……。
海道一の弓取りと言われた徳川家康と三河軍団に抗い、一歩も引くことのなかった信濃の小大名、真田昌幸の生涯を描いた伝奇時代小説、第2弾。
●朝松 健(あさまつ・けん)
1956年札幌生まれ。東洋大学卒。出版社勤務を経て、1986年『魔教の幻影』でデビュー。ホラー、伝奇など、幅広い執筆活動を続けている。2006年『東山殿御庭』が第58回推理作家協会賞短編部門の候補となる。近年は室町時代に材をとった幻想怪奇小説〈室町ゴシック〉、一休宗純を主人公とした〈一休シリーズ〉、妖怪と人間との心温まる交流をユーモアたっぷりに描いた〈ちゃらぽこ〉ほかの妖怪時代コメディなどを発表している。