密室の楽屋で不気味なギターの音が響き、そして人気歌手・芦田真美の死体がそのわきに転がって発見された。果たしてギターを掻き鳴らしたのは、死ぬ間際の真美か、あるいは犯人だったのか? その時刻、現場近くにいたのはマネージャーの松原直人だけで、容疑者と目された彼は単独で殺人トリックに挑戦せざるを得なかった。そして次々に浮き彫りにされるそれぞれの青春の過去と謎は…。
第12回江戸川乱歩賞の最終候補作『四つのギター』を改稿・改題した本格長編ミステリ作品。
●大谷羊太郎(おおたに・ようたろう)
1931年、東大阪市に生まれる。慶応大学文学部国文学科中退。大学在学中にプロミュージシャンとしてデビュー。芸能界で過ごした後、1970年に『殺意の演奏』で第16回江戸川乱歩賞を受賞。翌年より推理作家専業。トリック中心の推理小説を120冊以上発表。近年は時代小説でも多くの著書を発表している。