ワニは南部に来た。腰には拳銃がない。エッタの喪に服して拳銃断ちをしているのだ。しおらしい限りだが、ずい分思いきったものである。さて、金山の町に足を止めたワニ。おとなしくしていられるはずもなく、たちまち町のボスと険悪な間柄になる。相手はこれまでの悪役とはケタ違いの強大な能力者だ。敢然と立ち向かうワニ。そしてワニを助ける実にやくたいもない能力者たち! 一方、尻尾怖い率いるナッツと騎兵隊の緊張高まる中、クサフリは呪術修行に余念がない。さらにマリエも元気に再登場。なんだか彼瀾万丈の展開が予感されるのだが……。「能なしワニ」シリーズ第4弾。
●中井紀夫(なかい・のりお)
1952年生まれ。武蔵大学人文学部卒業。ハヤカワSFコンテストを経てデビューし、短篇「山の上の交響楽」で星雲賞を受賞。主な著書に、『能なしワニ』シリーズ、『タルカス伝』シリーズ(ともに早川書房)、『漂着神都市』、『海霊伝』(ともに徳間書店)など著書多数。