ワニは東部に来た。おなじみ超能力者だらけの西部劇惑星という設定らしからぬ宇宙港と百万都市をひかえた文明の地。何の超能力もない能なしの拳銃使いなど使いみちがない。と考えるのは早計で、芸は身を助く。首尾よく西部劇ショーの一座にもぐり込む。そして、エッタ・フェアに出会ったのである。その能なしの少女はワニを前代未聞の気持ちにさせた。どうやらワニが恋をしたらしい。やれやれ。しかし、それが謎の連続殺人事件にからんでくるとは、ワニならずとも知る由もなかった……。能天気な拳銃使いといたいけな少女の甘くてこわい恋の顛末! 「能なしワニ」シリーズ第3弾。
●中井紀夫(なかい・のりお)
1952年生まれ。武蔵大学人文学部卒業。ハヤカワSFコンテストを経てデビューし、短篇「山の上の交響楽」で星雲賞を受賞。主な著書に、『能なしワニ』シリーズ、『タルカス伝』シリーズ(ともに早川書房)、『漂着神都市』、『海霊伝』(ともに徳間書店)など著書多数。