羽田空港近辺でタクシー運転手が射殺され、乗っていた女性が何者かに拉致された。女性は、退官後公証人をしている元検事の愛嬢だった。検事と旧知だった元警視庁警部の本郷義久は、かつての上司に依頼され彼女の行方を追う。だが調査を進める本郷は、事件の背後に、ある企業の内部権力抗争とそれに絡む暴力団の存在を察知。犯人の放つ凶弾がさらなる犠牲者を生む中、本郷は醜悪な欲望に駆られた犯人に肉薄するが…。
●龍一京(りゅう・いっきょう)
1941年大分県生まれ。元兵庫県警察、司法警察官として主に公安を担当する。退職後、コンサルタント業等を経て、作家に転身。著者の実体験をふんだんに織り込んだ、リアルな刑事の実態を描く警察小説を得意とする。『偽装捜査』(光文社文庫)、『鬼刑事(デカ)謀殺痕』(祥伝社文庫)など著書多数。