先東中学報国親衛隊長・西城ゆかりは怒り狂っていた。日頃から犬猿の仲である兄・めぐみに、今日も手ひどく愚弄されたのである。折しも、めぐみをはじめ浜口倉之介、赤城小夜子、一条直子、翔星東二郎ら誠新学園高校格闘技同好会の面々が肝だめしを行うという情報を得たゆかりは、恰好の悪企みを思いついた。報国親衛隊の隊員たちとともにお化けに扮装し、兄を思いきり脅かしてやるのだ。復讐をとげる自分の姿を想い、ゆかりはほくそ笑んだ。だが、彼は知らない。格闘技同好会メンバーの真の恐ろしさを。凄惨な運命が彼らを待っていることを…。ますます風雲の熱血青春格闘技小説、第二弾。
島本和彦の表紙・挿し絵を完全収録して、ついに電子書籍で復刊!
●朝松 健(あさまつ・けん)
1956年札幌生まれ。東洋大学卒。出版社勤務を経て、1986年『魔教の幻影』でデビュー。ホラー、伝奇など、幅広い執筆活動を続けている。2006年『東山殿御庭』が第58回推理作家協会賞短編部門の候補となる。近年は室町時代に材をとった幻想怪奇小説〈室町ゴシック〉、一休宗純を主人公とした〈一休シリーズ〉、妖怪と人間との心温まる交流〈ちゃらぽこ〉などを発表している。