富士守田市を潰滅させるに至った魔教・苦止縷得宗の暗躍を封ずるため、吉水都道・都英の父子は、弘前の誓金寺へ向かった。苦止縷得の法具・三角金字塔が青森県下にあり、誓金寺の古文書が盾がかりになることがわかったからだ。だがそのころ、誓金寺では、秘仏を納めた櫃から血があふれ出る怪異が起こっていた。秘仏は血の涙を流し、三百数十年の時空を超えて、恐るべき警告を発していたのだ。〈逆宇宙〉の侵攻による、怪魔・網古の復活と、金字塔のおぞましい秘密がその内容だった。何としても金字塔を邪教の手に渡してはならない…。
衝撃の怪奇と幻想のアクション巨編、末弥純の表紙・挿し絵を纏い、電子書籍で待望の復刊!
●朝松 健(あさまつ・けん)
1956年札幌生まれ。東洋大学卒。出版社勤務を経て、1986年『魔教の幻影』でデビュー。ホラー、伝奇など、幅広い執筆活動を続けている。2006年『東山殿御庭』が第58回推理作家協会賞短編部門の候補となる。近年は室町時代に材をとった幻想怪奇小説〈室町ゴシック〉、一休宗純を主人公とした〈一休〉、妖怪と人間との心温まる交流をユーモアたっぷりに描いた〈ちゃらぽこ〉ほかの妖怪時代コメディなどを発表。