幼い子を持つ女が手籠めにされたうえ、首を斬り落とされるという残忍な事件が起きた。数日後、特異な予知能力を持つ柊仙太郎は血の匂いを感じ、黒羽二重の男が四人の破落戸を斬り殺す現場に行き会う。斬り口の見事さから犯人は罪人の斬首を仕事とする山田浅右衛門ではないかと疑われる。仙太郎はつらい過去を持つ美貌の女掏模や人妻の肌と心を浴かしてやる一方で、凶悪な犯人と対峙することに…。
●北山悦史(きたやま・えつし)
1945年、北海道生まれ。山形大学文理学部中退。学習塾運営のかたわら小説を書き、1977年、官能作家デビュー。「官能小説大賞」「日本文芸家クラブ大賞」「報知新聞社賞」を受賞。独特のソフトな文体と描写で人気を博す。気功家としての顔も持ち、各地で気功教室を開いている。『占い師天峰 悦び癒し』(二見文庫)、『絵草子屋勘次随喜竿』(悦の森文庫)、『金四郎桃色秘帖 桜吹雪の女』(学研M文庫)など著書多数。