ハラクティの団結のため、カッシートたち仲間と荒涼たる砂海(ジェル・アー)を北へと渡ったエアンだが、必死の説得も大部族長ニンガルを動かすことはできなかった。しかし、余興で剣を握らされたエアンの圧倒的な技量と度胸に、ニンガルは「お前たちに見せたいものがある…」と告げるのだった。
同じ頃、アーシェア王のベテゴア視察を間近にひかえたファハンでは、王を疎ましく思うラベルト、ジェラン両将軍の陰謀が密かに動きはじめていた。そして、隣国グザナでは揺れ動くファハンを虎視眈々と狙うドゥアト王の姿があった。
砂海でそしてトルア各地で世界の運命を賭けた動きが胎動しつつあった。好評異世界大河ロマン第5巻。
●河原よしえ(かわはら・よしえ)
東京都杉並区出身。小学生時代から漫画家を目指しつつ、1975年にアニメーション制作会社、株式会社サンライズ(旧・有限会社サンライズスタジオ)でアルバイトを開始。翌1976年からは企画室所属の契約社員として、設定制作、文芸、企画などを『風間洋』名にて担当。1984年『重戦機エルガイム』で脚本、1989年に企画を担当した番組のノベライズ『鎧正伝サムライトルーパー』で小説家デビュー。趣味である古代エジプト学の知識を元にしたファンタジーをはじめとする小説や、ムック本の解説などの他、ラジオドラマ脚本、作詞など、活動は多方面。古代エジプト学、博物学、イラスト、マンガ製作、最近はホビーロボット大会のボランティア活動等が趣味。『神の禽』シリーズ(角川書店)、『ファラオを盗め!!』上下(朝日ソノラマ)、『G-SAVIOUR』上下(集英社)、『幻の将軍』上下(エニックス)、『徹底図解・古代エジプト』(新星出版)など著書多数。