和宮替え玉工作の真相を秘める“禁裏御みあし帖”は人手を転々とする。折しも和宮降嫁が決行された。岩倉具視・長野主膳の確執、西郷吉之助・武市半平太・桂小五郎の悲願、忍部衆・公儀隠密の暗闘。
降嫁の行列は様々な人の思惑をはらんで中山道を。時を同じくして足跏堂十六斎(あしかどうとろくさい)も心形刀流の剣士でもある女房・菊絵の死相を案じ、京を離れ江戸へ。死相の薄れる方角をと心がけるうちに行列の後を辿って旅することになった二人に新たな危難が……。
幕末の江戸・京都を舞台に、実在した人物が入り乱れる大チャンバラの世界! ユニークな伝奇時代小説、その下巻が登場。
●えとう乱星(えとう・らんせい)
1949年熊本県生まれ。慶応大学中退後、同人誌を主催。1989年『中風越後』で小説CLUB新人賞佳作を受賞してデビューする。おもな作品に『黄金無双剣』、『裏小路しぐれ傘』(ともに学研)、『書院番殺法帖』(ミリオン出版)、『かぶき奉行』(ベストセラーズ)など著書多数。