「米国はほどなく日本に対し宣戦を布告するであろう」
英首相の宣言どおり、米国は中立の仮面をかなぐり捨てようとしていた。
(……大英帝国の滅亡は、米国の国益に反する)
提供した資材・資金の貸し倒れを懸念したルーズベルトは、その真意をベールに包み、「正義のための戦争」を謳った。
アメリカの思惑を見越した二人……山本五十六と西条英俊。連合艦隊司令長官と軍需大臣は、米国参戦の見通しについて語り合った。ただし、会談はあくまでも汁粉屋の雑談にすぎないと認識していた。
それでも二人が一致し、公に口にしたい一言があった。
(……日米開戦はもはや不可避だが、万に一つの勝ち目もない)
そして、運命の一二月七日。夜は静かに明けつつある。
大長編・架空戦記、第7巻の登場!
●林 信吾(はやし・しんご)
1958年、東京生まれ。神奈川大学中退。1983年より10年間、英国に滞在。この間、ジャーナリストとして活動する傍ら、『地球の歩き方・ロンドン編』の企画と執筆に参加。『青山栄次郎伝 EUの礎を築いた男』(角川書店)、『反戦軍事学』(朝日新書)など著書多数。
●清谷信一(きよたに・しんいち)
1962年生まれ、東海大学工学部卒。軍事ジャーナリスト、作家。2003~08年まで英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』日本特派員を務める。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関上級アドバイザー、日本ペンクラブ会員。豊富な海外取材とネットワークをベースにした防衛産業の分析には定評がある。『防衛破綻』(中公新書ラクレ)、『専守防衛』(祥伝社新書)など著書多数。