【内容紹介・目次・著者略歴】
本書描くのは、最新の研究成果をもとに書き下ろされた新しいマイスター・エックハルト像である。
20世紀末から21世紀の初頭にかけて、エックハルト研究は劇的に変化した。それは全集がほぼ完結したことを受けて、文献学的に信頼できるテクストの精読と、社会史的な視点からのドイツ神秘思想の定位が可能になったからである。
神秘家の思想形成に大きな役割を担ったエルフト時代についての本書での考察は、修道院長であり、思索家であった初期活動をあますところなく明らかにし、また最も活動的であったシュトラスブルク時代の教会史的考察は、彼を晩年襲った異端疑惑の真相を明らかにした。
さらに、パリ大学でのアリストテレスをめぐる議論や、ケルン高等神学院でのアルベルトゥス主義が神秘思想と綾なすスリリングなコラボレーションは、中世思想の醍醐味を感じさせる。
【目次より】
目次
第一章 序論 研究のための予備考察
一 エックハルト研究の四つのパラダイム
二 ドイツ神秘思想と言語
三 神秘的言語
第二章 故郷タムバッハとエルフルト――就学地ケルンとパリ
一 エックハルトの故郷
二 大学と托鉢
三 ハインリヒ・ゾイゼの幻想神学校
四 マイスター・エックハルトの修行時代
第三章 エルフルトにおける修道院長時代
一 都市エルフルトとマインツ大司教座
二 テューリンゲンのドミニコ会
三 『教導講話』成立の背
四 修道院長エックハルト
五 教育者エックハルト
六 聖餐論争
七 『教導講話』
八 エルフルトのベギン
九 行いと存在
一〇 離脱とハビトゥス
第四章 パリ大学教授時代
一 第一回パリ教授時代
二 『第一討論』
三 サクソニア管区長時代
四 第二回パリ教授時代
第五章 シュトラースブルク 神秘思想家の誕生
一 シュトラースブルクのドミニコ会
二 シュトラースブルクのベギン
三 開かれた説教
第六章 ケルン高等神学院院長時代
一 告発前夜
二 ケルンでの審理
第七章 アヴィニョン――異端者
一 異端者宣告勅書『主の耕地にて』
第八章 エックハルト以後
一 ケルンのエックハルト信奉者
二 エルフルトのエックハルト信奉者
註
年譜(エックハルトの生涯/関連事項)
あとがき
資料出典
文献目録
索引(人名/用語)
香田 芳樹
1959年生まれ。ドイツ文学者、慶應義塾大学教授。信州大学人文学部ドイツ文学科卒業、金沢大学文学研究科修士課程ドイツ文学専攻修了、広島大学文学研究科博士課程ドイツ語学文学専攻修了。文学博士(広島大学)、Ph.D.(スイス・フライブルク大学)。
著書に、『魂深き人びと』『マイスター・エックハルト 生涯と著作』
訳書に、マクデブルクのメヒティルト著『神性の流れる光(ドイツ神秘主義叢書1)』などがある。
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