自動車という乗り物が「EV」「自動運転」「シェア」という方向に急激に動いている現代は、自動車誕生一四〇年の歴史の中でも最も大きなパラダイムシフトであり、同時に機械の塊を操る悦び、モノを所有し愛でるという自動車が培ってきた文化の危機でもある。だからこそ今、日本一のロールスロイスとベントレーのクラシックカーコレクターで販売も行う涌井が、自動車の歴史、文化・機械遺産としてのクラシックカーの存在意義、大量生産・消費・廃棄の時代に一台を大事に乗り継ぐ生き方や、顔の見える商いへのこだわりを語る。現代社会が「効率」の名の下に見失ってきた大事な物語が、ここにはまだ生きている。