難病を患い、家族に看取られながら亡くなったはずの私。
死後の世界で「別の世界に生まれ直して、妹が魔王に嫁ぐのを阻止してほしい」と神様っぽいおじいちゃん2人に言われ、とある貴族の私生児グレイスとして転生した。
転生後、前世の記憶がないグレイスは、辺境の娼館で平民の母や娼館の人たちから愛されて育っていたが、母の死をきっかけに父親に引き取られ、王都の侯爵家で生活をすることになった。
侯爵家では、異母妹エリザベスが癇癪もちでわがままに過ごしていた。それは彼女が持つ強すぎる魔力のせいで周囲の者が体調を崩したりけがをしたりするので使用人も遠巻きになり、エリザベスの母も娘に冷たい対応をしていたことによる愛情不足が原因だったのだ。
転生時におじいちゃんズにお願いされたことを覚えていないグレースだったが、妹をかわいく思い、エリザベスに優しく接していた。いつしか2人は仲の良い姉妹となり、エリザベスの魔力暴走もなくなっていき、侯爵家の中は少しずつ変わっていく。
時が経ち、幼馴染で初恋相手だった辺境領主の息子ラルフォードが隣国からの留学を終え、再会し交際をするなか、高魔力の子供を攫う事件が起こり始める。
とうとうかわいい妹エリザベスにも魔の手が迫る――。
自覚も記憶もないまま、他世界の命運を握った人物に生まれ変わったグレイスの、家族と恋の話。
『悪堕ち姫のお姉さま~魔王に嫁ぐ妹を救います~(3)』には「ラルフォード」~「迫る不穏の影」までを収録