本書の主題は、「正解を定義できないからこそAIを使う」ことから生じる矛盾を乗り越え、読者がAIシステムをテストできるようになることです。従来行っていた正解に基づくテストは無効ですので、AIソフトウェア向けの新しいテストの方法を説明していきます。
●想定読者
本書の想定読者は、AIソフトウェアのテスト方法がわからず困っている技術者や、AIシステムに品質問題が発生しないか心配な品質保証担当者、あるいは自社の業務にAIを導入したいけれど、知識不足に不安を抱いている事業担当者などです。
●本書に必要な前提知識
・ソフトウェア開発の基礎知識だけでよく、AI/機械学習やソフトウェアテストの専門知識は不要です。
・4章から7章のチュートリアルは、Pythonを知らなくても体験できます。
・集合演算や論理式には簡単な記号だけを使っており、高校初級程度の数学の知識があれば、より深く内容を理解できるでしょう。
・数式やプログラムコードを読み飛ばしても、概要を理解できるよう構成しています。
●主な構成
まず、AIの専門家でない方々に向けて、1章ではできるだけ平易に「AIとは何か?」の説明から始めます。続く2章では、AIシステムのテストの難しさと、考え方を説明します。3章からはいくつかのテスト技術について説明するとともに、テストを実行するためのソフトウェアの導入方法や実行例も含めながら詳しく解説することで、読者がAIソフトウェアのテストを実践できるようになることをめざします。
◆「AI/Data Science実務選書」とは…
AI開発とデータサイエンスのプラクティスを集め、実務家のスキル獲得/向上を力強く支援します。