「あなたはぼくのことをほとんど知りません。どうしてぼくなんかを連れて行こうとするんです?」
「確かにわたしはお前を知らない。おそらく、お前を見ていると思い出すせいだろう――」
「あなたの昔の知り合いを?」
「昔のわたしをだ」
無実の罪でとらえられた少年アレクは、奴隷商人に売られる前夜、謎の男サージルに伴われ脱獄する。幾つもの名を持つ密偵である彼に弟子入りしたアレク。初仕事は、闇の帝国プレニマーの高官から情報を得ることだったが、知らず持ち帰った「宝」のせいで二人は高額賞金首、その上、仕掛けられた呪いにより、サージルは瀕死に!! 解呪できるのは魔法王国スカラの魔術師だけ。予期せぬ出会いにより結びつけられた二人は、追っ手から逃れ、スカラに辿りつけるのか――!? 231ページ